ルネ・ラリック 光への軌跡

20世紀の巨人 - 芸術とデザイン」でも紹介されているルネ・ラリックの作品集です。ガラス工芸品は、グラスや花瓶など、比較的身近なものですが、ラリックのそれは本当に美しい。

表紙の花瓶は、成田光子さんが個人のコレクションを展示している滋賀県:成田美術館の「バッカスの巫女」。本書の解説を転載すると「裸婦の輪舞を厚いレリーフで表した花瓶。陶酔の表情で踊りに熱中する10人の踊り子たちは、それぞれ異なるポーズで表現され、まるで回転しているかのように見える。古代神殿の破風彫刻を連想させる表現と、硬質なガラスの冷たさを感じさせない仕上がりが見事。」

また、この花瓶に使われているのはオパルセント・ガラスで、「反射光ではクールなブルー、光を透すとオレンジ色に変化する半透明の乳白色、薄地の部分は透明に近い多様な表情をもつ不思議なガラスです。1925年頃からラリックが用い、アール・デコ期に大流行しました。」と解説されています。この表紙は反射光ですが、本書の中には見開きで、反射光と透過光で両方で撮影比較されたページもあり、心魅かれました。

さて、話題はぐっと身近になって、グラスの話をさせてください。

DURALEX ピカルディー

僕の普段使いのグラスは、DURALEX ピカルディー

バカラ アルクール オールドファッション

そして、特別なスコッチを飲む時だけは、バカラ(Baccarat)のアルクール オールドファッション

このグラスに共通するのは、深いフラットカットが奇数入っていること。奇数だと親指をカット面にかけ、残りの指の第一関節をカットのエッジにかけることで、グラスを安定させて持つことができます。この具合が良いんですよね。デュラレックスは9カット、バカラは7カットなのは、カットが少ない方がガラスの厚みが必要で、アルクールはずっしり重く男性向けです。これにコンビニで買ってきたブロックの氷を大きめにカチ割って(丸くするのは無理)、お気に入りのスコッチをドボッと注ぎ、氷をカラカラやりながら、ゆったり飲むと美味いんですよね。

で、ラリックのグラス(ふぅ、やっと戻って来れた) は、残念ながら持ってません。でも、すごく欲しいラリックがあるんですよ。浜松にもショットパーが何件もありますが、僕の知る限り最高なのは ル・パラディです。ネットにまったく情報がないのは、オーナーバーテンダーの水野さんが、常連さんも大切にしている店の雰囲気を流行り廃りで台無しにしたくないから。ここのドアを開けると、繁華街の雑踏とは無縁の大人の時間がゆっくり流れていて、薄暗い店内のカウンター越しには、磨きこまれたグラスとあらゆる種類のお酒が出番を待って、ゆっくり呼吸をしています。食事に行く前に寄るとガス抜きしたジントニックを、また、水割りはお酒の種類によってミネラルウォータも変えるなど、話せば切りがない心遣いがあります。僕はジンベースのカクテルが好きですが、ショートをお願いするとラリックのグラスで出してくれます。僕がそのグラスが大好きなのを覚えててくれるからです。お酒を注ぐカップの部分はフラットカットが入っていて、柱の部分は丸いガラス玉がぶどうの房のように積み上げられていて、それはそれは美しい。ネットでずいぶん探したんですけど、ないんですよ。また、機会を作って、写真を撮ってきたいと思います。

  • ル・パラディ
    電話:053-456-0573
    住所:静岡県浜松市中区肴町313−12

(FTPの行き帰りに、成田美術館に寄って見たいなぁ〜)


追記:

mi-chiさんが情報提供してくれた庭園美術館は、正面玄関ガラス・レリーフ扉、大客室と大食堂のシャンデリアがルネ・ラリック制作です。