銀座で珈琲50年

銀座で珈琲50年 カフェ・ド・ランブル / 関口 一郎

「所謂(いわゆる)コーヒー通とはどんな人ですか」とは、私がよく受ける質問である。
 一般にはブラック(ノーミルク)で飲む人、日に何杯も飲む人、供されたコーヒーの銘柄を言い当てる人、書物や人伝にて仕入れた知識をそれとなく披瀝(ひれき)する人・・・などが通とされているようだ。
 しかし私の結論では、「いま自分が欲しているコーヒーを正確に注文できる人」こそ本当の「通」ということになる。
 たとえ最高級とされる銘柄でも、それがおしなべて誰にも一番美味しいとはいえない。コーヒーには各人各様の好み(苦味・酸味)があり、更に体のコンディションや時間帯によって、要求するものが違ってくるからだ。
 肉体的に疲労している時などは、体が糖分を要求しているのだから、砂糖のたっぷり入ったコーヒーがおいしいものである。こんな時には、無理してブラック・ノンシュガーで飲まなくてもよいはずだ。

「第21話 本当のコーヒー通」より、一部引用させていただきました。

好き・嫌い、その時の気分・体調で聴きたいものが違う音楽と一緒ですね。まだまだ、美味しいと言われるコーヒーを飲みまくっていくしかありません。

珈琲だけの店「カフェ・ド・ランブル」(この本も通販してます)、一度行ってみたいです


目次

  1. 日本人のコーヒー
    1. 日本人は、1日に何杯のコーヒーを飲むか?
    2. 日本のコーヒーの値段は
  2. インスタント・コーヒー体験
    1. ポスタムという飲み物
    2. 戦中のインスタント・コーヒー体験
    3. 戦後のインスタント・コーヒー体験
    4. インスタント・コーヒーの製法と値段
    5. インスタント・コーヒーとレギュラー・コーヒー
  3. オルド・コーヒー
    1. オール・アバート・コーヒー
    2. 群馬のコーヒー事件
    3. 住田物産(株)の半田社長
    4. 富士珈琲機会製作所の先代寺本社長
    5. ブラジル珈琲院の鑑定士との対話
    6. エージング・ルーム
  4. 日本茶道とコーヒー・セレモニー
    1. 私とお茶
    2. お茶対談
    3. 茶道とコーヒー・セレモニー
  5. サイフォンのコーヒー
    1. 終戦直後のサイフォンを使っていた店
    2. アメリカン・コーヒーは紅茶の代用だった
    3. サイフォンの特許を取る
    4. サイフォンで上手に入れる方法
  6. コーヒー通とは
    1. 本当のコーヒー通
    2. 目や頭で飲んでいるコーヒー
    3. ノーシュガー
    4. ノーミルク
    5. 炭焼きのコーヒー
    6. 飲み物の温度
  7. タレーラン「地獄のコーヒー」
    1. タレーランの理想のコーヒー
    2. タレーランと「ウィーン会議」
    3. タレーランのコーヒーへの異議
  8. フランスコーヒーへのあこがれ
    1. フランスのコーヒー用語
    2. フランス語学習のこと
    3. 子供とコーヒー
    4. カフェ・オ・レーと式根島体験
    5. フランスコーヒー修行断念の理由
  9. コーヒー・ミルの良し悪し
    1. コーヒー・ミルの種類
    2. 抽出と粉の荒さの関係
    3. ミルと微粉
    4. スチール・カットミルについて
    5. まぼろしに終わった電動ミル
    6. ランブル自慢のミル
    7. グラニュレーターについて
    8. 家庭用のミル
  10. コーヒーと水
    1. 塩素ガスの消毒臭
    2. 経済成長下の水と浄水器
    3. 美味しい水の条件
    4. ミネラルウォーターとコーヒー
  11. 珈琲の「コク」と「アク」
    1. 「アク」は「悪」か
    2. シルバースキンとコーヒー
  12. 日本のコーヒーの現状
    1. 日本の珈琲の輸入状況
    2. 生産国から見た日本のコーヒー