クルマの女王・フェラーリが見たニッポン / 清水草一

今年のFTPトークショーで小沢コージさんが、お金持ちの趣味、スーパーカー世代、今の若い人はクルマに興味がなくなってきたと、世代によるクルマへの関心が変わってきた話をしていましたが、きっとこの本も、その話をフェラーリを通して体系付けしてくれているんだろうと手に取りました。

この本は実に面白い えっ!マジ!?へぇ〜、なるほど♪の連続です。

例えば、値段だけでビックリしてもらうとするなら、1967年発表のトヨタ2000GTが238万円で、当時人気のフェアレディー2000の約3倍の値段、2002年の物価指数を100とすると、1965年が25なので、今買ったら4倍の1000万円くらい。これに対しフェラーリは、1968年に正規輸入された330GTCが1400万円だから、今なら5600万円。当時の平均月収の160ヶ月分だそうです。とても一般ピープルには買えませんな。そして、バブル期に投資対象となったフェラーリは、定価4500万円のF40が1990年に2億6000万円になったそうです。さらに、バブル崩壊後、著者の本を読んで、1000万円クラスになったフェラーリ(中古)を買ったスーパーカー世代のサラリーマンが150人以上いるそうです。うへぇ〜です。

もちろん、こんな数字だけなら数枚で終わってしまいますが、この本の中では、フェラーリを始めて買った人から、フェラーリを売った人、スーパーカーにはまって大人になった人などなどのインタビュー、そして、時代背景が語られ、著者の言うところの「地上唯一の自動車芸術フェラーリ」は、改めて凄いなぁ〜と思いました。そして、著者:清水草一さんの語り口が軽妙で、気に入りました。

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さて、僕はと言うと、スーパーカーブーム(1974年〜1978年)の時は高校生だったので、スーパーカー世代ではなく、自家用車は年収の3分の1くらいと言われていることからすると、5人乗りのヨーロッパの大衆車メガーヌを長く乗ることを考えれば普通(少なくとも本人はそう思ってる)です。

そうそう、中学の同級生に○オくんと言うクルマ好きがいます。彼は工業高校を卒業してプレス工場に就職し、最初に買ったクルマはポルシェ914/6です。今思うと中古だったからでしょうが、フロントウィンドウにワイパーが付いていません。「雨の日は乗らないから取ってあるんだ」と言ってました。フォルクスワーゲンのエンジンではなく、ポルシェの水平対抗6気筒の916であることが自慢で、車高が低く、足を投げ出した姿勢で助手席に乗せてもらって、スピード感が怖かったのを覚えています。20代後半の同窓会に、○オくんは白いRUF(ルーフ)に乗ってきました。腕の良い金型職人になって、会社から退職金を前借して買ったそうです。クルマの音もすごかったけど、そのことも凄いなぁと思いました。そして、つい1ヶ月前にプチ同窓会に来た○オくんに「今は何乗ってるの?」って聞いたら、短く「S」だそうです。ベンツですね。独立して名古屋で金型会社を経営してます。好きなクルマに乗りたくて一生懸命やった結果です。

追記: 後日、○オくんに確認したら、SとはAMG S55、他にSL(SL55AMGかどうかは聞き忘れた)と、聞いたこともない名前のクルマを持っているとのこと。○オくんいわく「クルマはオレの趣味じゃない」そうだ。人生そのものってこと?


目次

  1. 私が日本発のフェラーリオーナーです
    • とんでもない高嶺の花!あまりにも浮き世離れしたクルマ
    • 1年間の販売台数、わずか2台・・・!?
    • 日本第1号のフェラーリを持ち帰ったのは、この私です
    • フェラーリ、即金にてお買い上げ
    • フェラーリに乗っていれば「東洋の王子様」
    • 日本で乗っていても、誰も気付いてくれない時代
    • フェラーリは”安上がり”な夢か・・・?
  2. 日本人がフェラーリを知らなかった頃
    • 学生アルバイトでポルシェを買った男
    • 「東洋の王子」と「伝説のレーサー」
    • その頃、我が清水家(練馬区)では・・・
    • モータージャーナリストの超重鎮は語る
    • 高度経済成長とオイルショック
    • フェラーリオーナーには、石油危機など関係なし!
  3. 子供たちだけのスーパーカーブーム
    • 池沢さとし先生にフェラーリを売った男
    • 行列新記録!チビッコ大集合のスーパーカーショー
    • スーパーカーの王様「カウンタック」
    • 「一時の熱狂」で終わらなかった男たち・・・
    • フェラーリは、カウンタックの代償物なのか・・・!?
    • カウンタック日本上陸第1号は
    • 手抜きのスーパーカー、そしてブームの終焉・・・
    • 「サーキットの狼」、連載打ち切りの危機から大ヒットへ
    • フェラーリを買うには高すぎた税金
  4. 「フェラーリ大衆化」への奇跡
    • フェラーリを鉄クズ同然にした大不況
    • 整備すら、まともにできなかった時代
    • ジャパン・アズ・ナンバーワン!
    • 「フェラーリだったらなんでもいい」
    • バブル頂点!F40、1台2億6000万円!!
    • 日本フェラーリ界の巨大資産の形成
    • 「清水様、すっばらしい348tbが入ったんですよ!!」